呼吸する家 土壁の家 現代の土壁の家




はじめに-
グラスウール断熱材は、化学製品で良くないという発想は、個人としても言いたくありません。
そうであっても、選ばざるをえないこともあります。
実は、グラスウール断熱材は最もポピュラーで値段も安く、今の工業化した世界においては、「断熱」するという選択肢もあると思うからです。
家の部位でお金をかけられる部分とそうでない部分は個人の価値観でもあります。
だから、土壁の家は理想ではあるのですが、お金もグラスウールに比べるとちょっと高いので、そのことをしっかり頭に入れて、以下をお読みください。

理想の家
土壁の家は、日本の環境にあってました。
どうしてあっているのでしょう?
それは、日変化に対して、恒温恒湿の室内環境を作れていたからです。
土の熱伝導率は、0.7W/m・Kであり、木材の4倍 高性能グラスウールと比べても25倍も熱を通しやすい。
これだけ見ると、良いようには見えませんが、熱容量は1600KJ/m3℃であり、これは木材の2倍、高性能グラスウール16kの80倍もあります。
つまり、断熱するのではなく、熱を貯め込むという発想です。要するに、壁がなかなか温度変化できないので、屋外の温度変化に内部は影響されにくい状況となるのです。
今も古い農家の母屋で、土間が残っているような家は、夏は涼しかったりしますよね。
なかなか体験している方が少ないとは思いますが、自分の記憶では、入口の戸をあけると、独特の匂いもあったのですが、なんとなくすっとして、過ごし易い環境であったと記憶しております。

実は、私の実家のある茨城県県南には、そのような母屋も結構残っていて、それに住んでいる方もいらっしゃいます。
芸術家で、そのような家を好んで住んでいる方の家に行く機会があり、そのような体験ができました。
空気がなんとなく澄んでいて、玄関の戸を開けておくと、風が抜ける家でした。
今の家だととてもありえない環境でした。
温度変化が少ないので、和紙でできた建具や障子も長持ちするし、建具の狂いも少ないとのことでした。
蔵つくりの土蔵の中は保存状態が良いとはよく聞きますよね。
かの、なんでも鑑定団で、金沢だとかで土蔵の中から出てきた美術品の保存状態が良いと以前ありましたね。
だから、自然素材が多い、昔の美術品とかにはうってつけの環境なわけです。
当然、人間にも良い環境ということにもなります。

しかし、これとは逆に、「耐震」の話があります。
耐震化という側面から言えば、かやぶき屋根の家が優れているわけではなく、重い屋根で耐えられず倒れるという映像を、最近の大地震後の倒壊現場でみた事もあるはずです。
地震という方向性から見ると、土壁の家は、はやり重いし揺れるのです。
そうなると、やはり「そんな家はいらない」となってしまいます。

では、そんな土壁に近い素材はないか?となります。

熱容量が高く、すなわち、温度を貯めて吐く能力がある建材は、ないわけではありません。
ポピュラーではないだけであります。
加えて、重い事も無く、耐震性を現代のレベルまでしっかり上げて設置もできるのです。
いくつかある素材の中で、バウビオという建材を勧めております。
バウビオの説明 参照HP
実は、家ではないのですが、集会所という用途の建物で使用しました。
この集会所は、屋根・壁・床 すべてに断熱材として使用し、グラスウールは全く使用しておりません。
また、内部の壁には部分的に使用し、内部の調湿にも一役買っております。
実は、関東でここまでバウビオを使用した建物はここしかありません!!!

     
かの博物館の収蔵庫は、このバウビオのような建材を使っているそうです。
理由は、土蔵の中のような環境が作れるからであり、これは、他の建材ではできない環境です。
酒蔵と同じ環境を作れると言えば、かの抗酸化という手もあります。
抗酸化については、いくつか塗装系の建材が存在しています。
凄く効果が出ているかは新築の場合は難しいですが、リフォームでは違いと感じやすいと言えます。


また、アレルギーについて、医学的にこのような建材が確実に効く というのは言えないのですが、少なくとも、化学製品の断熱材に比べれば、遥かに、良い環境を作れると言えます。
一般的に、無垢の木材や、吹付断熱材も調湿や消臭の機能もあると言われています。
これは、ある程度実績もあり、知られている効果です。
ただ、これら建材もバウビオのような結果まではなかなか得られません。
とはいえ、石膏ボードをクロスの下地に使ったグラスウール断熱の家に比べると、無垢の木を使った家の方が上だとはいえるでしょう。
医学的な事の証明は、当然、個人差もあり、また、臨床実験をしていないのがこの手の建材でありますが、化学製品を減らすという観点から、アレルギーになりやすいものを減らせば、リスクも減ると考えるのが妥当でしょう。でも やっぱり、個人差もあることもあり、万人に同じ効果というのは、断言できません。
相対的ではありますが、使用した方々は「効果があった」と言われる方が多いようです。
この建材は、臭いでいろいろ問題のある、老人ホーム・幼稚園・保育園・店舗 で使う事がお勧めです。
臭気が次の日にはある程度消える効果があります。また湿度も調整されます。
呼吸する建材で、是非、家・店舗の環境をグレードアップしませんか?



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